青い猫の花嫁
「なにしに来たの?」
冷たい言葉。
言葉が冷たいんじゃなくて、トワの心が冷たい。
あたしを、拒絶する言葉だ。
なんで……?
なんでなの、トワ……。
「……ごめん。部屋間違えちゃったみたい」
ダメだ、ここにいられない。
もっとちゃんと冷静になれる時に、何を話すか決めてから……。
「戻るね……」
羽織っていたカーディガンをキュッと握りしめて、背を向けたままのトワに声をかけた。
「あ、学校!ちゃんと来てね?あたし、待ってる、から……」
トワが、どうしてそんなふうになっちゃったのか、話してくれるまで、待ってるから。
力なくドアノブに手をかけて、唇を噛みしめた。
泣くな。
もうすこし、我慢だ。あたし。
重たい重たい、鉄の塊みたいなそれを引いて、ドアを開けた。
「おやすみ…………」
―――ガチャン
ドアの閉まる音が、やたら耳に、頭に、体に響いた気がした。