青い猫の花嫁
「藍原(あいはら)です。よろしく」
「あ、うん。こちらこそ、よろしく」
トワのエンジェルスマイルに、松田くんも負けないほどの爽やかな笑顔で答えた。
「じゃあ俺、先に行くから。後でな」
「あ、うん……また、ね」
ヒラヒラと手を振りかえしていると、トワのつぶやきが聞こえて我に返る。
「へーえ。彼が例の……」
「えっ」
ギョッとして顔を上げると、すっかり元の顔に戻ったトワが、歩いて行く松田くんの背中を追いかけていた。
「君を見つけた時、その感情も一緒に流れ込んできたんだけど。そっか、これか」
「……」
ふーんと納得したように、トワがあたしに視線を落とした。
トワには、バレてるんだ。
彼があたしの好きだった人、って事。
「そ、それより、どうして松田君はトワの事知らなかったの?記憶、操作してるんだよね?」
「ん?」
あたしの言葉に、トワはキョトンを首を傾げた。