青い猫の花嫁
『俺が前に言った事、覚えてる?』
『え?』
前に言った事?
それって……そんな感情必要ないって、あれ?
見る見るうちに、強張って行くあたしの顔をトワは冷静に見つめている。
『必要以上の感情は、ツライだけだよ』
『トワ、待って』
『俺の気持ちは変わらない』
『……』
そんな……。
頭が真っ白になった。
だから、部屋の前でトワにキスされるまでの記憶が、曖昧だ。
……何をそんなに怯えているの?
何を、怖がってるの?
トワは……あたしの事、好きじゃないの?
茫然としたままのあたしを、トワは優しく抱きしめて、耳たぶに甘噛みするようにキスをして。
『でも嬉しい。ありがとう真子』って、そう言ったんだ。
酷い事を言っておいて、あんなふうにあたしに触れるトワ。
なにがありがとう、よ!
あたしはただ、トワが好きで。お礼なんて言われたくなくて……。
ああ、もう!わけわかんないっ、あたしの一世一代のキス返せー!