青い猫の花嫁
「……」
クラス中、うんん、もう学校中が大騒ぎになっていた。
なんの騒ぎって?
それはもちろん……。
「きゃああ! ほんとにカッコいいっ」
「ドイツ人とのクォーターらしいよ?」
「誰? なんて言うの?」
「いいなぁ、B組。なんでうちのクラスじゃないのぉ?」
すごい……。
その元凶は、案の定同じクラスに転入し、さらには隣の席を陣取っていた。
チラリ
黄色い声が飛び交う中、隣の席の転入生。
トワは、軽く流すようにそれに応えている。
慣れてるんだ、こういう注目のされ方。
「ねえ、でも聞いた?登校する時、女子としてきたみたいだよ?」
「えええっ誰?」
「それが……」
うう……。
視線が痛い。
あたしが朝、トワと歩いていたのは、もうたくさんの人から目撃されていた。
もぉ、記憶操作とか出来るなら、全員にしといてよぉ。
やだなぁ……。
どこからどう見ても、超がつく美貌の持ち主トワと、哀しいかなものすごーく平凡なあたしなんかじゃそりゃあ吊りあわないって言うか……。
「……」
授業まであと少しだし、教室を出るわけにもいかず、あたしは机の中から教科書とノートを取り出して、準備をするふりをした。