青い猫の花嫁
爽子、カナトくんにとっても大事にされてるんだなぁ。
すごいなぁ……。
カナトくん年下なのに、爽子の事、ちゃんと真剣に考えてて。
いつも怒ってるみたいだから、怖い感じするけど。
本当はすごく優しいんだよね。
ぶっきらぼうなカナトくんを思い出して、クスクスと笑いが込み上げた。
あれ?
でもふと、違和感と思い出して首を傾げたその時だった。
「――あ、あの!」
「え?」
いきなり声をかけられて、ハッと立ち止まった。
振り返ると、あたしに引きずられるように身を引いた郁くんがいて。
その表情はとても困っていた。
あたしはまだ彼の腕に自分のを絡ませていた事に気付いて、慌てて飛び退いた。
「あ、ご、ごめんね。いつまでも……」
「え?あ、いえ……いいんです。その、」
真っ赤になって俯いた郁くん。
なぜかこっちまでつられて頬が熱くなる。
無言のまま鮮やかな芝生を見つめて、あっと顔を上げた。
「そうだ!トワは?元気?」
「えっ?」
いきなり身を乗り出したあたしに、驚いたようにビクリと小さく飛び跳ねた郁くんは間をおいて、「はい」と頷いてみせた。
「そっか。よかった……」
ちょっと心配だったんだよね。
最後の笑顔が、瞼の裏に焼き付いてて、変に胸騒ぎがしたから。