青い猫の花嫁

パチ!と目を開けると。
呆気なく木陰から出ていくトワの背中が飛び込んできた。



「あ、ちょっとトワ?どこ行くの?」

「どこって、教室。授業始まるよ?」

「教室ぅ!?」


慌ててその後を追いかけて、思い切り制服の袖を掴んだ。


「ま、待って!」


一瞬立ち止まって、それからゆっくりと半分だけ振り向いたトワは、キョトンと首を傾げた。


「なに?真子」

「なにって、あの」


それ以上言葉に出来なくて、顔がカッと火照る。

トワから視線を落として、彼の制服を掴んだままの自分の手を見つめた。


消化不良だよ……。
ね、今だよ?

あたしがキスしてほしいのは……今なんだよ、トワ。


そんな思いも込めて、さらにキュッと手に力を込めた。



「……」

「……」



どれくらいそうしてたんだろう。

トワの目にあたしはどう映ってるんだろう。


ドクドクって脈打つ心臓に、押しつぶされそうだ。

緊張と恥ずかしさのあまり、震える手に、トワの大きな手がふわりと触れた。



「……真子」



わわ、今度こそ!


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