青い猫の花嫁

ドキ……

小さく胸が跳ねて、頬杖をついて首を傾げたトワから慌てて視線を外した。



「それでって……」

「さっきの話。まだ俺聞いてない」

「う……」


どうにも気になるらしい。

トワってば、さっきから少し機嫌悪そうだ。

口ごもったあたしを見て、トワが小さくため息をついた。


「嫌な事言われたの?」

「え?」


思わずトワを見ると、真剣な瞳があたしを見つめていた。


嫌な、事?
嫌な……

カナトくんが言ってたのって……あの事だよね?

てことは、あたしとトワが……。


「……」


かあああ。

耳まで真っ赤になってく気がして、慌てて頭を振った。



「真子?」

「あ、あの……嫌って言うか……嫌じゃないって言うか……」

「嫌だけど、嫌じゃない?」

「……ん。嫌じゃない……かも」



歯切れの悪いあたしに、頬杖をついたままジッと見つめていたトワは、姿勢を戻すと椅子の背に身を投げ出した。


「――ならいいよ。無理に聞いてゴメン」

「え?」


あ、もしかして……。
トワは、あたしが酷い事言われてるって思ったのかな?

だから、心配して……。

< 209 / 323 >

この作品をシェア

pagetop