青い猫の花嫁
そっと覗くと、机に肘をついて頬杖をしたトワがジーッとこちらを眺めていた。
それから何かに気付いて、その手がにゅっと伸びてきた。
「ね、真子。なんで耳まで真っ赤なの?」
「ひゃあああっ」
肩で切りそろえてある髪をすき、トワのヒンヤリとした指が耳に触れた。
ビクリと体が震えて、思わず飛び上がる。
「なっなんだ、どうした立花?」
あたしの声に驚いたのか、先生の持っていたチョークがポロリと転がるのが見えた。
「……すみません……」
クスクスと周りから笑い声が聞こえ、呆れたように先生がため息をついた。
「寝ぼけるのもいい加減にしろよぉ」
「はい……」
うう……。
だっていきなり耳触るんだもん。
びっくりするに決まってるし。
ジロリと睨むと、トワは不思議そうに首を傾げた。
その日。
ちゃんと話を聞こうなんて思っても、他の女子生徒たちがトワを取り囲んで近づく事も出来なかった。