青い猫の花嫁
それからあたし達は、清水寺から三年坂、八坂神社などを見て回り。
またバスに乗って、観光スポットを回れるだけ回った。
夕方、旅館につくとそれぞれに部屋へと案内された。
和を基調とした落ち着いた雰囲気の客室に入るなり、みんな一斉に鞄を放り投げた。
「あー疲れたぁ」
「ほーんと。うわ、でもすぐにご飯だって。行かなきゃ」
「お腹すいたぁ」
この部屋は6人部屋で、この階には1組から6組までの女子が集められていた。
男子は、下の階だ。
「眠い……」
両足を投げ出して、うーーんと横になったあたしを見て、クラスメイトが笑った。
「ご飯食べ損ねるよ~」
「それはやだぁ」
なんて言ってると、窓から身を乗り出していた他の子が「あ!」なんて大きな声を上げた。
「ねえねえ!ここから男子の部屋が見えるよ」
「ええ?うそぉ」
皆が窓際に集まって、下の階を見下ろした。
―――男子……?あ……。
なんか今日1日変だなぁと思ってたけど、そうだ。トワを見てないんだ。
学校で、集合してる時に、あの空色の髪を見かけただけで、それ以来見ていないのだ。
まさか……来てない、とか?
ありえる……。
そうだ、総司総先生に聞けばトワの事わかるよね。
そう思って体を起こした時、窓から身を乗り出していたひとりがクルリと振り返った。
「真子、ちょっとおいで」
「へ?」
ちょいちょいと呼ばれ、首を傾げる。
そして、ほらほらとどこかを指差した。
「なに?」
言われるがまま、窓に手をついて、そっと下を覗き込んだ。