青い猫の花嫁

それからあたし達は、清水寺から三年坂、八坂神社などを見て回り。
またバスに乗って、観光スポットを回れるだけ回った。


夕方、旅館につくとそれぞれに部屋へと案内された。
和を基調とした落ち着いた雰囲気の客室に入るなり、みんな一斉に鞄を放り投げた。


「あー疲れたぁ」

「ほーんと。うわ、でもすぐにご飯だって。行かなきゃ」

「お腹すいたぁ」


この部屋は6人部屋で、この階には1組から6組までの女子が集められていた。
男子は、下の階だ。


「眠い……」


両足を投げ出して、うーーんと横になったあたしを見て、クラスメイトが笑った。


「ご飯食べ損ねるよ~」

「それはやだぁ」


なんて言ってると、窓から身を乗り出していた他の子が「あ!」なんて大きな声を上げた。


「ねえねえ!ここから男子の部屋が見えるよ」

「ええ?うそぉ」


皆が窓際に集まって、下の階を見下ろした。


―――男子……?あ……。

なんか今日1日変だなぁと思ってたけど、そうだ。トワを見てないんだ。
学校で、集合してる時に、あの空色の髪を見かけただけで、それ以来見ていないのだ。


まさか……来てない、とか?

ありえる……。
そうだ、総司総先生に聞けばトワの事わかるよね。
そう思って体を起こした時、窓から身を乗り出していたひとりがクルリと振り返った。


「真子、ちょっとおいで」

「へ?」


ちょいちょいと呼ばれ、首を傾げる。
そして、ほらほらとどこかを指差した。


「なに?」


言われるがまま、窓に手をついて、そっと下を覗き込んだ。


< 215 / 323 >

この作品をシェア

pagetop