青い猫の花嫁
黒猫が導いたのは
お昼ご飯を食べるために、中庭に降りてきた。
今日は少し暖かい。
それでもセーターを着込んでベンチにお弁当を広げていた。
と言うのは口実で。
実は教室にいると、どうしても野次馬女子たちの視線が気になってご飯どころじゃなかったんだ。
「にゃあ」
あれ、こんなとこに猫?
足元に2匹の猫が現れて、気持ちよさそうに昼寝を始めた。
植木からもう一匹。
ゴロゴロと喉をならし、あたしの足にまとわりつく。
え、なに?
人懐っこい猫は可愛いけど、あたしのお弁当目当て?
目を細めて毛づくろいをする小さな猫をジッと見つめた。
「はい。コレ」
「え?」
顔を上げると目の前には、綺麗にラッピングされた小ぶりの箱。
その箱からさらに視線を上げると、爽子がニッと笑った。
「誕生日。おめでとぉ」
「うわぁ、ありがとう」
忘れてた。
そうだよ、今日はあたしの16歳の誕生日だった。