青い猫の花嫁
「そうなんだ。んじゃ早くいこーぜ。あんまり時間ないし」
「うん」
すぐに引き下がってくれた松田くんにホッとしつつ、あたしはもう一度そのストラップに視線を落とした。
それからあたし達が向かったのは、化野念仏寺。
同じグループの男の子たちがどうしてもと譲らなかった場所だ。
実は鈴虫寺行きとで結構もめたのだ。
こっちを譲らなかったのは、もちろん女の子達。
だってほら、鈴虫寺って縁結びがすっごく有名でしょ?
だからあたし達のグループは、スケジュールギリギリだった。
「わぁ、なんか天気悪くなってきたね」
クラスメイトがそう言って空を仰ぎ見た。見上げると確かに、空にはいつの間にか分厚い灰色の雲が立ち込めていた。