青い猫の花嫁
今確かに落ちたはずのチャームがどこにも見当たらない。
「うそっ」
なんで?
そんなに小さくないんだし、どこへも……。
と、その時だった。
すぐそばで、にゃああと鳴き声がして誘われるように顔を上げた。
植木のすぐそばで、真っ黒な猫がこちらを見ている。
その口には……。
「あっ!チャームっ」
あたしがそう叫ぶと、黒猫は踵を返すように植木を飛び越え走り去る。
「や、ちょ……待って!それ、あたしのだからーっ」
「あ、真子ちゃん?」
「絶対取り返すから!ごめん爽子、先に教室戻ってて!」
茫然とする爽子に声をかけ、全速力で猫を追いかけた。