青い猫の花嫁
――カランコロン
ドアベルの涼しげな音がして、お店にやって来たのは、カナトくんと郁くんだった。
肌を撫でる風が冷たく感じてきた今日この頃。
それでもカナトくんのファッションはあまり変わらなくて、少しだけはだけたシャツから、骨っぽい鎖骨が見えていた。
そこには、爽子とお揃いのシルバーリング。
あたしはキラキラと光るそのリングに目を奪われてしまった。
爽子の隣にカナトくん。
あたしの隣には郁くんが座り、そこに賑やかな廉次さんが加わった。
「そう言えば最近洋子さん見ないけど、バイト辞めちゃったの?」
思い出したようにそう言った爽子は、カウンター越しに会話に加わっていた廉次さんを見た。
「ヨーコちゃんはね~。就活で忙しいんだって。ほら、もう年の瀬だし」
「ああ、そっか……。大学生って大変……」
やだな~と言いながら、爽子はカップに口をつける。
「んなの、爽子には関係ねーだろ」
「どうして?」
爽子の隣でメロンソーダを飲んでいたカナトくんが、興味なさそうに言った。
首を傾げた爽子を見もせずに、ジュルルル~と勢いよくジュースを吸い込んで、それからギロリと目を細めた。