青い猫の花嫁

「なんでって。爽子は俺と結婚すんだから就職とかなんて考えなくてもいいっつってんの」



――――えっ!


その場が一瞬シンとなる。

それからハッとした爽子の頬がカッと赤くなった。


ありゃりゃ、カナトくんってあたしにだけじゃなくて、爽子にも爆弾落とすんだね。

当たり前のようにそう言ったカナトくんに、感心してしまった。
爽子の照れように、こっちまで恥ずかしくなっていると、いきなり爽子が小さく飛び上がった。


「ひゃ!」

「ど、どうしたの?」

「あ、ごめん。電話だ……。びっくりした……。ちょっと出てくるね」


そう言ってセーターからスマホを出すと、爽子はそそくさとお店を出て行った。

その姿を目で追っていると、珍しくカナトくんから話しかけてきた。



「おい」

「……」

「おい、お前」

「え?あ、あたし?」

「お前以外に誰がいんだよ。ったく」

「……」


うう……。郁くんも廉次さんもいるよ?ここに。

ビクビクして、身を小さくしたあたしに、カナト君は口ごもる。





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