青い猫の花嫁
廉次さんの声に、ふたりともグッと口ごもった。
「焦っちゃう気持ちもわかるけどね。でも、僕等がどうあがいても運命は決まってるんだよ」
え?
見上げると、廉次さんは眉をハの字にして目を細めた。
決まってる……?
「僕等に出来る事は、猫を見守る事。それしか出来ないんだから。ね?信じてあげようよ。トワくんと、青い毛並みの猫ちゃんをさ」
「……」
「……」
そう言った廉次さんは、クシャリと郁くんの髪を撫でた。
何の事かわからなくて、ポカンとしてるあたし。
でも、カナトくんと郁くんにはそれが理解できたみたいで、俯いたまま黙っていた。
少しの沈黙が落ちた、その時。
爽子がお店に戻ってきた。
「ごめんね~。あたしそろそろ帰らなきゃ……って、どうしたの?みんな……」
「……なんでもねぇよ。俺も帰る。行くぞ、爽子」
「え?あ……ちょ、カナト!」
爽子の鞄をもって、さっさとお店を出て行ったカナトくんを慌てて爽子も追いかけた。
「真子ちゃん!またメールするね」
「あ、うん」
手を振りかえすまえに、爽子もお店から出て行ってしまった。