青い猫の花嫁

「今日だけじゃないです。前にも僕、あなたに無神経な事、言ってしまって……」

「え?」


前?

キョトンと首を傾げたあたしを上目づかいで見上げながら、大きな瞳を潤ませた。


「トワくんの家に行ったときに、その。選択を間違えないでとか、凄く無神経でした」

「選択……」


一瞬考えて、思い出した。

そっか……もしかして、あの時の事をずっと気にしてたのかな……。
だからあたしを見る時の郁くん、少し変だったのかも。


「郁くん、トワの事、すっごく心配なんだね」

「え?」


閉じていた目を開けて、郁くんは何度も瞬きをした。

優しいんだな……。
本当に、三國の人は、みんな優しい人ばかりだ。

嬉しくて、心の中があったかくなって、思わず頬が緩んだ。

< 254 / 323 >

この作品をシェア

pagetop