青い猫の花嫁
雨の夜と、トワの決意
それは突然の知らせだった。
「嘘……トワのおじいさん、亡くなったの?」
「……ああ。今朝うちにも知らせが来た」
12月に入り、街中がクリスマス一色になるこの華やいだ季節。
そう言って、目を伏せた松田君をあたしは茫然と見上げていた。
爽子も初めてきいたようで、同じように困惑していた。
トワ……
「トワは?」
今朝から顔を見ていない。
爽子に聞くと、やっぱり学校を休んでいたそうだ。
「行くだろ?」
「そうだね、行こう」
あたしの肩を掴んで、松田君と爽子が頷いた。
トワの家に……。
学校に来たばかりだったけど、あたし達は鞄をつかんで玄関へと走った。
階段を降りようと角を曲がった、その時だった。
先を走っていた松田君が緊急停止し、あたしも爽子もその背中にぶつかってしまった。
「ちょっと、修也!いきなり何……」
松田君の背中から前を覗き込んだ爽子も、固まる。
そのすぐ後ろからあたしも身を乗り出して、息を呑んだ。
「どこへ行く気だ」
そこにいたのは、あたし達が来ることをわかっていたような、総司朗先生だった。