青い猫の花嫁
トワの、事だけ?
「十二支に関わったものだけじゃない、藍原と関わったすべてのものから、藍原だけの記憶が消される。俺たちは、もうすぐ忘れてしまうんだよ、藍原トワの事を」
……。
な、にそれ……。
目の前が、真っ暗になる。
先生の言葉、理解できなくて……。
でも必死に頭が、体が、理解しようとしてる。
それじゃあ……
「トワは知らないって事ですか……」
彼はそれを知らずに、みんなから記憶が消えると思ってるの?
自分だけが忘れられてしまうのに……?
なんとか吐き出した息と一緒に、そう言うと先生が目を伏せた気配がした。
「―――いや。 知ってるはずだ」
「……っ」
なんで?
なんでじゃああの時……
あの時、あたしにあんな事言ったの?
自分の体が自分のじゃないみたいな感覚に、立ってるのかそうでないのかもわからなくなっていた。