青い猫の花嫁
それでも先生の言葉だけは、耳に飛び込んでくる。
呪文みたいに、あたしの中に入って、グルグルかき回す。
「猫憑きが人との関わりを極度に絶ってきた理由もそこだ。人のぬくもりなんて、知るだけでいい事はなかったはずだからな。
いずれ、お前の中から、藍原の身内の事すら消えてなくなるだろう」
嘘だよ……。
じゃあ、トワのおじいさんの事も、忘れちゃうの?
トワを、かわいい息子って笑ってた、あの笑顔も……
忘れちゃうの?
トワ……トワ……。
「 立花 」
ギュッと肩を掴まれて、ハッとすると目の前に総司朗先生がいて、まっすぐにあたしを見つめていた。
先生の瞳は、揺れていた。
「……」
「これから、どうなるのかは誰にもわからない。いいか、立花。お前は藍原をどうしたい?」
え?
「お前は、どうしたいんだ」
あたし……
あたしは……。