青い猫の花嫁

「どうして嘘ついたの?」

「……、忘れる事には変わりないから」


なんでもない事のようにそう言ったトワ。
目を細めて、ふわりと笑う。


うんん。笑ってるように見せてる。

知ってるんだよ?トワの猫っかぶりがどんなふうなのか。



「トワだけ覚えててあたしは忘れちゃうなんて、そんなのヤダ」

「ワガママだね」



フッて眉を下げたトワ。
今度は、本当に笑ってる。

呆れたように、笑って、それから悲しそうに睫毛を伏せた。



「俺は大丈夫。もうずっと昔からそうなるってわかってたんだから」

「わかってない!トワは何もわかってない」



諦めたように言ったトワが許せなかった。

みんな、すごく心配してる。
なんとかならないかって、考えてる。

思えば、そうだった。


正宗さんも、廉次さんも。
総司朗さんも、爽子たちだって、みんながそんな事が起きないように、あたしに言った。


だから。

そうならなくてすむように、一緒に考えて欲しいんだ。


諦めて欲しくない。





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