青い猫の花嫁
シャッシャッシャッ
静かな個室に響く小気味よい音。
伏し目がちのまま、丁寧にお茶が垂れられていくのをあたしは、不思議な感覚で見ていた。
これって現実?
それとも夢?
目の前に差し出された小さな絵が描かれた抹茶茶碗
畳の香りと、雪見障子から見える坪庭。
なんだか、初めての場所なのに、どこか懐かしいような、そんな気さえしてしまう。
「……トワが、ご迷惑をおかけしていませんか?」
話は突然切り出された。
「え?」
トワ?
目を瞬かせていると、目の前の男の人はニコリと微笑んだ。
うわわ……。
この人、すっごくキレイ……。
シャープな顔立ちに、その中のパーツは何もかもパチリとあてはまっている。
切れ長の瞳は、長い睫にびっしりと覆われていた。
トワも綺麗って言うか、かわいい顔してるけど……。
この人は……まるで作り物みたいだ。
綺麗すぎて、ちょっと怖い……。