青い猫の花嫁
空色の柔らかな髪の向こうの伏し目がちの瞳に、息を呑む。
「全部、欲しい」
「トワ……」
いつからそんな顔するようになったの?
ちょっとだけ苦しそうな、そんな顔してそれでも笑おうとしてる。
それは猫っかぶりでもなんでもない。
きっと、トワの本当の心。
恥ずかしいよ……。
すっごく恥ずかしい。
でも、嬉しいな……。
たぶん、顔も耳も体全部が真っ赤。
ドキドキしすぎて、目もウルウル。
緊張も半端ない。
こんなあたしを、嫌わないでね?
「……トワなら、いいよ?」
あたしの全部、トワにあげる。
はにかんだあたしに、トワは一瞬その瞳を見開いた。
そして、なぜか顔を逸らすと、困ったようにため息をついたんだ。
「ダメだ。ほんとに俺が俺じゃなくなりそう」
「え?」
どうしたの?なんて聞こうとして、その言葉は言わせてもらえなかった。