青い猫の花嫁
そして向かった先は――――……。
「やっとふたりで来ましたね。待っていました」
そう言ってニコリと笑ったのは、正宗さんだ。
久しぶりの三國家。
今日は、最初に来た時と同じ、正宗さん以外人の気配がしない。
正宗さんは、あたし達が来ることをわかっていたように頷いて、それから屋敷の奥へと招き入れてくれた。
「――さ。どうぞ」
通されたのは、見覚えのある部屋。
そうだ、ここはお花見の時に十二支のみんながいた場所だ。
前と違うところは、きちんと襖があいていて。
お庭から、12月の薄い空が見渡せることだった。
紺色の着物を身にまとい、座布団の上に優雅に正座をした正宗さん。
彼はその切れ長の瞳を細めると、真っ直ぐにトワを見据えた。
相変わらず、つくり物のように怖いくらい綺麗な正宗さん。
薄い唇が開き、真っ白な歯が覗いた。
「さっそく本題に入ります。トワ、見えたんですね?」
「ああ、見えたよ」
わかっていたみたいに、トワはコクリと頷いた。