青い猫の花嫁
何かが物凄い勢いでぶつかっては、体をすり抜ける。
遥か遠くまで飛んで行くそれは、
強大な、何か。
苦しい……息が、出来ない。
落ちているような、飛ばされているような
無重力のような、どっちが上で、どっちがしたなのかわからない。
ただわかるのは……
ずっと、誰かに抱きしめられてるという事だけ。
守るように。
ずっとずっと、その腕はあたしを離さなかった。
―――――――……
――――……
「ん……」
サワサワと、頬を撫でる風。
夜露に濡れた、青い草の香りに重たい瞼を何とか持ち上げた。
薄く目を開くと、辺りは真っ暗で。
それが夜だという事に気付いたのは、しばらくしてからだ。
体……痛い……。
「っう……」
少しでも動くと、痛みが走った。
だるい……。
「真子?大丈夫?」
「あ……」
その声にハッとすると、心配そうにあたしを覗き込む、愛おしい顔があった。
「……トワ……?あたし達……」
腕に力をありったけ入れて、体を起こす。
トワはすぐにそれを支えて、あたしを抱き起してくれた。