青い猫の花嫁
「飛ばされたらしい」
とば、された?
キョトンとしてると、あたしを支えていたトワが「見て」と視線を巡らせた。
わけもわからずに、トワの視線の先を追いかける。
すると……。
「え……、うそ。なに、これ……」
目の前の光景に、息を呑んだ。
少し小高い丘の上にいるあたし達。
そこから、遥か遠くまで見渡せた。
漆黒の夜空
大きな満月
そして……
見た事もない街並みが広がっていた。
真っ直ぐ伸びる道、まるで碁盤のようなそこに同じような家が軒並み並んでいる。
「飛ばされたって事は……まさかだけど」
チラリと見上げるといつも通りのトワは、冷静にコクリと頷いた。
「うん。たぶん何百年も前」
「……そんな」
茫然と、またトワの視線の先を追う。
夜だから?
すごく静かで、街の明かりもほとんどない。
でも、それでもしっかりと見渡せるのは、あたし達の住む時代よりも、月明かりが強く感じたからだ。
……あ、でも……。
知ってる。
あたし、この景色知ってる。
なんだっけ……
「真子、それなに?」
「え?」
トワに言われ、初めて自分の手におさまってるものに気が付いた。