青い猫の花嫁
『私の名前は安陪魚名(あべのうおな)。あなた方は未来からいらっしゃったんですね』
「は、はい」
正宗さんじゃないんだ……。
あたし達がいる空間は、まるでさっきとは別次元のように感じた。
三國のお屋敷がフェードアウトして、映画のワンシーンでも見てるようだ。
そして、あたし達は星空から彼らの様子を見下ろしていた。
一面に水が張ってあって、その向こう側に人間になった十二支たちがいまだ忙しなく動き回っている。
「あの、準備ってなんの準備なんですか?」
『宴です』
「宴って……元旦の?」
―――宴。
ずっと黙っていたトワもそこでようやく口を開いた。
『彼らは、感じているのです。終わりが近い事を』
「終わり?」
魚名さんは真っ直ぐに彼らを見下ろしている。
その瞳は少しだけ切なそうで、正宗さんとよく似た綺麗な瞳が揺れていた。
あたしもトワも、魚名さんの視線を追った。
……終わり……。