青い猫の花嫁
千年続く猫の想い
――――今から千年も前の話。
まだ占いや魔術などが信じられていた時代。
それはそれは美しい女性がいました。
彼女は体が弱く、目が見えません。
流行り病を患い、山の中の小さなお屋敷に隔離されてしまいました。
話し相手もおらず寂しい日々。
しかしある日、一匹の猫が迷い込んできたのです。
猫は娘に懐き、いつもそばにおりました。
猫に連れられて、たくさんの動物達も娘の元へ通うようになりました。
鼠、牛、虎、兎、辰、巳、馬、羊、猿、鳥、戌、亥、そして、猫。
……皆、娘を愛していました。
毎夜毎夜、皆娘の元へ通い、娘が笑ってくれるようにと、楽しい宴を開きました。
そして、ある満月の夜。
娘はとうとう死んでしまいました。
皆が見守る中、天へと昇る娘。
けれども、その中に猫の姿がありません。
最近めっきり床に臥せていた娘に、元気を出してもらおうと、猫は贈り物を探しに行っていたのです。
しかし、それは
間に合いませんでした。
……。
魚名さんの見せるそれは、まるで絵巻物語。
小高い丘の上。
小さな小さな蒼穹の猫が、泣いている……。
「……そんな……」
あと少しだった。
あと少し、早ければ間に合ったのに……。
頬を伝う涙が、ポツリと足元を揺らした。