青い猫の花嫁
ふわりと優しく細められた瞳。
伏し目がちのトワに見つめられて、あたしは思わず身を乗り出した。
「お、女の子はね? 好きな人には頼られたいの!
だから、少しでもトワの力になれるなら、あたし、ほんとに嬉しい!」
最後はもう、宣言みたいで……。
繋いだ手を大きく振っていた。
一瞬キョトンと目を見開いたトワ。
そらから、力が抜けたみたいに、ふっと笑うと楽しそうに肩を揺らした。
「っはは。ね、それって逆じゃない?」
その顔が、なんていうか……。
油断してるって言うか。
また、知らないトワを知れたみたいで、胸の中がギュって熱くなった。
「え、そ、そう?……あ、はは」
あまりにトワが無邪気に笑うから、、照れくさくてあたしは視線をそらしてしまった。
でも、それはすぐに戻される。
トワの手が頬に触れ、それはもどかしそうに首筋をなぞった。
「真子、好きだよ」
「……あたしも……好き」
そう言って、少しだけ近づいた距離に、性懲りもなく胸が跳ねる。
絡められた手に力がこもって、トワが嬉しそうに笑った。
その笑顔に、何故か泣きそうになって。
前髪が触れる距離、お互いの体温が感じる距離でそっとトワを見上げる。
「あたしね?トワの笑顔、大好き」
「エガオ……ふーん?でもなんで?」
頬に触れていたトワの手が、クシャリと髪を持ち上げて止まった。
一瞬考えるように視線を逸らし、すぐに伏し目がちの瞳があたしを捕える。
そんなトワが可笑しくて。
複雑そうなその顔が愛おしくて。
あたしは、トワの綺麗な顔にそっと手を伸ばした。