青い猫の花嫁
今度は後ろに腕をひかれ、体のバランスが崩れた。
「っ!」
そのままポスンと倒れ込んだ先。
それは……。
「藍原くんっ」
爽子がほんのり頬をピンクに染めて、あたし達を見ている。
茫然としたまま、見上げると藍色の瞳が真っ直ぐにあたしを見下ろしていて。
「ごめんね。ちょっと真子、借りていい?」
「え?ちょ……」
背中に感じるトワの体温。
走っていたせいか、じわじわと熱い。
逃げられないように、あたしの肩をしっかりと掴んだまま、トワは爽子にニコリと微笑んだ。
「もちろん。 じゃあ真子ちゃん、先に行ってるからね!」
「あ……爽子っ」
助けてっ!
トワの腕の中で、身動きがとれない。
あたしの願いも虚しく、爽子は跳ねるように校舎に消えて行った。
「……」
「……」
後ろから捕まえられたまま……
沈黙。