青い猫の花嫁
「そもそもトワは、あたしをお嫁さんに欲しいと思ってるんでしょ?だったら、トワだってあたしを好きになる努力してくれてもいいと思う。あたしだけトワに恋したってダメなんだから、きっと」
自分で言ってて訳が分からない。
クルリとトワに背を向けて、意味もなくジャージの袖を何度も伸ばす。
トワはあたしの言葉を黙って聞いて、それからしばらくして静かに呟いた。
「……そんな気持ち、必要かな」
―――……え?
振り返ろうとした、その時。
ポツリと冷たい感触が頬にあたり、我に返る。
とうとう降りだしたんだ。
空を見上げると、重たい雲の絨毯から細かい雨粒が落ち始めていた。
お昼休み。
校舎からはたくさんの生徒の笑い声が聞こえてきた。
胸がギュって痛い。
今、なんて言ったの?
トワの気持ちがわからなくなってしまった。
「ねえ、トワ……」
今どんな顔をしてる?
意を決して振り返ったあたしの目の前に飛び込んできたもの。
それは……。