青い猫の花嫁


「……あれ?」


シトシトと雨の降る校庭。

校舎から完全に死角になったこの場所は、誰もいなくて……。
脱ぎ捨てられた、ジャージだけ…………



って、えええっ!!!?

ジャ、ジャージだけっ!?


振り返ると、そこに居るはずのトワの姿がまったく見当たらない。
服だけ脱いで、どこかへ行ってしまったんだろうか。

って、そんなはずもない。

だって、ここは校舎と校舎の間。
向こう側に行くためには、途中にいくつもの障害物があった。



「トワ?」



慌てて落ちているジャージに駆け寄って、拾い上げた。


と、その中から……。



「え? わっ」




何でキミが……

淡い水色の毛並み。
しなやかな身体と、見上げる蒼穹の瞳……。



どこかで見たような……



「……ね、猫?」



そうだ。

この子は、三國さんの家からあたしを案内してくれた猫だ。


でもなんでトワの服の中から……。



「……」


え?

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