青い猫の花嫁
「あれ、正宗に聞いてない?俺が猫憑きだって」
「……ね、猫憑き……って。聞いてない」
「ふぅん? そのわりには驚いてないね」
「驚いてるよ!」
かぶせるように言ったあたしに、トワは「そうなんだ」と首を傾げた。
その間の抜けた会話に、なんだか緊張の糸がプツリと切れた気がした。
雨脚はしだいに強くなり、あたしはそのままトワの隣に、崩れるように座り込んだ。
「……ねえ。って事は、トワはやっぱり宇宙人?」
「……。 またそれ?」
心底不服そうな顔をする猫。
あたしが覗き込むと、トワはチラリと視線を向けただけで、すぐに逸らしてしまった。
……かわいい……。
「ねえ、トワ?お願いがあるの」
「今度はなに?面倒な事は嫌だよ」
猫になっても相変わらず言う事かわいくないな……。
ジロリと睨まれて、思わず肩が竦む。
「な、撫でてもいい?」
「……」
だってこの前は無視されちゃったし。
空色のその体に、触れたい。
さっきは勢いで抱き上げたりしたけど、今度はもっと丁寧に……。
なにも言わないトワに、そっと触れた。
わ。柔らかい……。それに、気持ちいいかも。