青い猫の花嫁
咲かないココロ
「うう、頭痛い……」
その日、あたしは朝から頭痛に悩まされていた。
最近多いんだよね、偏頭痛みたいなの……。
特に今日みたいな、雪の降りそうな日。
あたたとこめかみを抑えていると、ノックもなしに部屋のドアが開いた。
「真子!準備できた?」
「ひゃあ!ちょ、ちょっとトワ!ノックくらいしてっていつも言ってるでしょ?」
相変わらずうちに居候中の、猫憑きのトワ。
あれからまた1週間たっていてすでに3月も半ば。
明日から春休みだ。
その間、雨に濡れるなんて事もなく、いつもと変わらない日常が流れてるわけだけど……。
「真子が遅刻するって郁子さんが」
「もぉ、お母さんってば……トワを寄こさないでよね……」
最近は、こうしてトワがあたしを起こしに来るのも日常になっていた。
「まだ着替えてないの?ほんと真子はのろまだな。ほら、俺が手伝ってあげるから早くして」
ぼんやりとトワを眺めていると、ふいにその綺麗な顔が近づいてきて、いきなりバッと服を持ち上げられた。
「きゃああ!じじ、自分でやるから!トワは下に行っててっ」
「何恥ずかしがってんの。だってふたりでやった方が効率よくない?」
「バカ!そー言う問題じゃないってば」
「えー?じゃあ何が問題なの?」と意味のわからないトワを強引に、部屋の外へ追いやった。
バタン!と勢いよく扉を閉めて、両手をついたままため息をつく。
「はあ……。なにコレ……。わざと?それともあれは天然なの?」
うな垂れていると、ドアの向こう側から声がした。