青い猫の花嫁
「真子?……真子ごめん。もう一回入れて?」
「え?……や、やだよ」
なにも考えてないような顔して、いきなり強引な事するんだもん……。
トワには油断しちゃダメ。
「真子が嫌がる事はしないから」
「……」
頭ではダメって思ってても、でもやっぱりあたしはトワを受け入れてしまう気がした。
け、結婚はしないよ?
お嫁さんになんて、なれないもん。
そういう事じゃなくて……って、どうしてそう思うんだろう。
ガチャ……。
「ほんとに何もしない?」
「ん。しない」
無表情のトワが、ほんの少しだけ目元を柔らかくするようになった。
あたしはそれに気づいて、心の中がジワリと暖かくなるのを、感じていた。
トワを部屋に招き入れると、あたしはクローゼットに向かった。
「わっ」
制服に手をかけたその時、顔の横に手が伸びてきて、クルリと向きを変えられた。
ドキン!
長身のトワの大きな手があたしの頬を挟み、ジッと見下ろしている。
こんなに至近距離から見上げたら、首が痛い……。
って、そんな事より……。