青い猫の花嫁
「オス。なんか今日さみーな」
そう言いながら、本人は全然寒そうじゃない。
「松田くん……おはよ」
「なんだよ、元気ないなぁ。朝からケンカか?」
楽しそうに笑ってそう言った松田くんは、バシンと背中を弾いた。
「あたっ……そ、そんなんじゃないよ」
落ちかかった鞄を肩にかけ直しながら、松田君を見上げた。
スラッと長身の松田君。
本当に寒いのか、鼻の頭が赤くなっている。
真っ黒な短髪が、朝の冷たい空気に触れてキラキラしていた。
つい、1ヶ月前までは……彼の事が好きだったな。
でも、爽子の気持ちも知ってたから本当につらくて。
昔から自分のキモチを素直に言葉にするのが苦手で、松田くんとうまく話す事も出来なければ、目を見るのも緊張してたんだ。
それがどういうわけか……。
今では目を見て話すのも、全然平気……。
これって……。