青い猫の花嫁
「ん?あれあれ?君はたしかこの間のぉ……」
そうだ。
廉次さん。
彼はこの前、正宗さんの家で会った人。
やっぱり夢……じゃなかったんだ。
あの日の出来事は、なんだか不思議な感覚だったんだ。
フワフワと空に浮いてるって言うか……。
猫のトワに連れられて、気がづいたら学校の中庭で倒れてたあたしは、ほんとキツネ、じゃなくて猫に化かされた気分だったんだ。
「真子ちゃん、廉さんの事……知ってるの?」
「え?あ、うんん、知ってるって言うか、この前たまたま会って……」
なんと説明をしたらいいかわからずに、そのまま宙を仰いだ。
爽子も松田君も、あたしと廉次さんを交互に見てきょとんとしている。
「俺、ガレットの生ハム多め。あと紅茶ちょーだい」
「はいはい。トワはいつものね。キミらは?」
……。
スラスラと注文を書き取って、廉次さんはにっこりと笑った。
……あ、びっくりした。
そっか、正宗さんとトワは親戚って言ってたし、あの家にいた廉次さんと知り合いでもおかしくはないよね。
うんうん。
「あたし、たっぷりベリーのパンケーキ。カフェモカくださーい」
「俺はぁ……コーヒーと、クロックムッシュ」
次々と頼んでいく爽子と松田君。
「立花は?」
松田君にメニューを手渡され、慌てて開いた。