青い猫の花嫁
―――と、その時。
「……サワ」
気付いた松田くんが、包み込むように震えるその肩に触れると、我に返ったように爽子がハッとした。
「あ……じゃあ、また遊んでねっ」
「え?あ……うん」
どうしたの?なにかあった?
聞こうとして、やめた。
傍には松田君がいるんだ。
きっと大丈夫。
いつもの笑顔を取り戻した爽子の背中を見送りながら、小さくため息が零れた。
「うーん……。複雑だけど、まあしょうがないよね」
「……」
え?
その声に顔を上げると、いつの間にか廉次さんがそこにいて、感慨深そうに腕組みをしていた。
「れ、廉次さんっ……、しょうがないって何がですか?」
びっくりした!
全然気づかなかった。
バクバクする心臓を抑えつつ、首を傾げた。
その隣で、同じように腕組みをしたトワは相変わらずの無関心っぷり。
「ん?ああ、そりゃあ今君たちは16歳でしょお?多感な時期だよねぇ、うんうん。でもそんな悩みもいつかは思い出になるし?笑って話せる時だって来るかもしれないし、もしかしたら来ないかもしれない」
「えっと……」
廉次さん、すみません。全然わかりません。
一気にそこまで言うと、廉次さんはクスリと肩をすくめた。