青い猫の花嫁
「あ、あの。ごちそうさまでした」
ペコリと頭を下げると、廉次さんはその表情をさらに和らげて肩を揺らした。
「はい。またいつでもおいで」
「そんなに来ないよ」
「僕は真子ちゃんに言ったの」
「真子だって来ないよ」
「トワ!そんなに独占欲丸出しにしてると、真子ちゃん引いちゃうよ!」
トワの眉がピクリと動く。
「…………。廉次、あのさ」
あわわ!
またふたりが言い合いを始めそうで、あたしは慌ててトワの腕をひいた。
「じゃあね~」と手を振る廉次さんに手を振りかえして、さっさと先を行くトワを追いかけた。
「なに笑ってるの?」
「え?あはは。うん、楽しかったなぁって」
「どこが?」
明らかに不服そうに眉間にシワを寄せたトワ。
「また連れてってね」
「……」
「だってトワの教えてくれたガレットまた食べたいもん」
「……まあ、たまになら」
諦めたようにそう言って、小さくため息をつく。
それから不意にあたしの手を握りしめた。