青い猫の花嫁

「トワ?」


そっと脱衣から声をかける。


「……」


返事は、ない。

どうしたのかな、大丈夫かな?
もしかして、トワも雷苦手とか?

停電で驚いて、湯船に沈んでないよね?


「トワ……開けるよ?」


外の激しい雨の音で、他の音がかき消される。

あたしはそっとお風呂場の扉を開けた。


浴槽浴槽……覗き込もうと、一歩足を踏み入れた瞬間。




「……え、きゃあああッ、わあああ」



なんとなく見えた目の前の光景に驚いて、飛び退いた瞬間、洗い場に残ってた石鹸で足を滑らせそのままあたしの視界は反転……。




バシャアアアーーン!



―――パッ!



電気が付いた。





「……」

「……」



ハッとして目を開けた。


目の前には、やっぱりさっき暗闇で見えた……



……人間のトワ。



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