青い猫の花嫁

―――グググ!

思わず、彼の顔を手で追いやる。



「……」

「ちょ、ちょちょ、ちょっと待ってくださいっ。いきなりお嫁さんってなんなんですかっ、そこ、ど、いて……お、お……」


お母さーーーん!

って、叫びたくてもその言葉は、目の前の彼の迫力に力なく消えた。


手のひらに、触れる柔らかな感触に、気を抜いたら気絶しそう。

ジロリと瞳が細められて、あたしの手首を掴んだその手が、思っていたより大きくてさらにビクッて反応してしまった。


「……すごい顔。……そんなに拒まないでよ。傷つくから」


は?き、傷つく?
そんな無表情で言われましても……。

今まで必要以上ににじり寄っていた彼は、呆気なくベッドから離れた。
立ち上がってみて、その幼い顔で意外と背が高い事がわかった。

腕組みをしてあたしから顔を逸らすと、なにやら思いを巡らせている。



拒むな、とか……。
今、あきらかにキ、キスしようとしてたよね?


掴まれていた手首をギュッと握りしめて、彼を睨んだ。

警戒態勢のあたしに、視線だけを落とすと彼は、はぁと目を伏せた。





「……一応確認するけど、君、タチバナマコだよね?」


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