青い猫の花嫁
頼りないその明かりの中で、部屋にいる人達の顔ははっきりとはわからない。
それでも、4人……はいると思う。
みんなバラバラに座っていて、誰ひとりとして話をしてなかったみたいだ。
それにしても、さっきまであんなに人の気配がしてたのに、ここにきて、それがまったくしなくなった。
だいぶ廊下を歩いてきて、ここが離れだという事はわかってる。
たくさんいた人たちは、どうしてこっちに来ないんだろう。
重く沈み込みそうな空気が包んでる。
入り口で立ち止まっていると、不意に左手が握られた。
そこでハッとして顔を上げると、あたしを真っ直ぐ見下ろすトワが居て。
彼は小さく口元を緩めると、「大丈夫」と囁いた。
でも、そう言ったトワの瞳がにわかに揺れているのに、あたしだって気が付いた。
トワも……不安なの?
握られた手を、あたしは強く握り返す。
そんなあたしに、トワは蒼穹の瞳をスッと細めた。
壁にもたれるように、あた達は腰を落とす。
……見られてる。
射るような視線を、全身に感じていた。
それはきっと、あたしだけに注がれてるわけじゃない。
敵意?
興味?
視線を巡らせる。
広い広い、畳の間。
小さな照明の届かない場所に、誰かがいる。
あたしを見てる……?