青い猫の花嫁
「はぁ~あ」なんて足を崩してリラックスする廉次さんは、あたし達に視線を移す。
目が合うと、廉次さんはいつもの廉次さんで、優しくその瞳を細めた。
「驚いた? これが、ここのお花見」
……お花見……。
首筋にあった、桜型の、あれの事?
「では、次は牛」
……牛……、ってあれ?
静かに動くその人影を目で追っていると、光に照らされて見えた顔に息を飲んだ。
うそ……なんで?
正宗さんの前で、着ていたセーターを脱いだのは……。
「…………松田、くん?」
そう、そこにいるのは、紛れもなく彼だ。
無言のまま、松田くんはシャツのボタンを外し、肩を出す。
その肩にも……淡く光る桜の花びら……。
なんで?どうして、ここに松田くんが……。
って事は、トワとも親戚って事?
正宗さんは廉次さん同様、お札を松田くんの肩にあて何かを施している。
苦痛に歪む松田君の口から、小さく吐息が零れた。