WITH
そして、ゆっくりと私の方へ体ごと向き直ると、真っ直ぐに見据えてくる。
「いつまで、そうやって廉を忘れるために好きでもないヤツと一緒にいるの?
挙げ句、別れて傷付いて……
脱け殻みたいに空っぽになってるっていうのに」
そう言う啓祐の顔は真剣そのもので、視線を逸らせない。
「いい加減、廉に対して見切りつけたら?
廉にはもう、
……蜜華ちゃんっていう大事な人がいるんだから」
啓祐の言ってることは、
間違っていない。
廉には、蜜華さんがいることも全部………
「わかってるわよっ……!!」
……もう、それ以上聞きたくなくて。
叫びにも似た声でそう言ったあと、両耳を両手で押さえてギュッと目を閉じた。