WITH
数分間、抱き合ったまま時計の針音だけが響く中「なぁ……?」という廉の声に顔を上げると、至近距離にいる廉の顔が更に近付き……
唇が合わさっていた―――
呼吸すらままならないほどに求められて、蕩けそうになってしまう。
そんな私を廉がそっと解放した頃には、力の抜けきった私は廉にもたれかかるようにして……珍しく素直に甘えていた。
「俺が絶対、紗和を守るから……」
廉の切羽詰まったような弱々しい声も、互いを求めてしまうことも……
少なからず、今の状況に不安を抱いているからこそ、二人寄り添い合うことで埋めようとしていたのかもしれない。
抱き締めてくれる廉のすべてが、私を支える唯一の心の糧だった―――