WITH
そんな私の頭を、
そっと優しく撫でる啓祐の大きな掌。
あたたかい温もりに、
私の感情は抑えきれず。
涙腺が決壊した――…
嗚咽を漏らし泣きじゃくる私を、
啓祐は何も言わないで、ずっと頭を撫で続けてくれていた。
「……………行く」
……数分後。
落ち着いた私はおもむろに顔を上げて、涙を拭いながら啓祐にそう告げていた。
「ちゃんと、廉と話せるかわからないけど………」
廉を忘れたい……
でも、忘れられなくて。
別の男で忘れようとしても無駄だって……
本当は、ちゃんと気付いてる。
廉の幸せな姿を見れば……
気持ちの整理がつくはずだよね?
「うん、紗和なら大丈夫。
廉が後悔するくらい、キレイになったしね?」
優しい笑みを浮かべて啓祐がそう言ってくれたから、
……きっと大丈夫。
そう思って、私は……
前に進む覚悟を決めた――…