WITH
「え……???」
立ち上がり、数歩先に咲き乱れるタンポポの中から1本、花を根元近くで手折った廉の背中を呆然と眺める。
「花や茎を刈っても、根さえ残ればタンポポはまた生え伸びるんだって。
タンポポは、それくらい生命力の強い植物だって知った時……真っ先に“紗和だ”って思った」
廉がゆっくりと振り返りタンポポを差し出すから、自然と受け取ってしまった……
「紗和は、タンポポみたいに強いヤツだから……俺が傍にいなくても大丈夫だよな?」
そんな私に、問うように突き付けられた痛い痛い……言葉の羅列。
“私は、強くなんかない……”と言いたいのに、目の前が暗くなるばかりでなんの機能も果たさない私の体。
「ごめんな、紗和……」