WITH
今もそう。
私の上に覆い被さっているのは、たった1時間前に声をかけてきた名前もよく知らない男。
意識を朦朧とさせている間は……私の中に存在する廉を、消すことが出来ていた。
「オレ、キミのこと気に入っちゃった♪」
情事後、気だるい体をベッドの上に横たえたままの私の横で片肘をついて起き上がり、にこにことした笑顔を向けてそう言う金髪の男。
見るからに遊んでいそうな、女に不自由していないであろうルックスのその男を一瞥すると。
「冷たい態度だなぁ。まっ、いいけど♪」
何が楽しいのかけらけらと笑う口許が……なんとなく、廉が笑う時と似通っていて。
知らず知らず無意識のうちに、廉の面影を追って男を選んでしまう自分に愛想が尽きる。