WITH
朝礼という名の引き継ぎが終わり準備をしたあと、利用者の方と運転の職員に「お願いします」と頭を下げて、車に乗り込んだ。
病院に向かっている間も、
(憂鬱だぁー…)なんて思ってしまうのは、大学病院には恐らく啓祐がいるから。
同窓会の翌日から、なんとなく避けてしまってズルズルと今に至ってしまっている。
廉から逃げるように去ってきてしまったために、啓祐からの電話に出ることも掛け直すこともしにくくて……
“廉に見切りを着けるどころか、更に忘れられなくなった”
だなんて、せっかく後押ししてくれた啓祐に言えるわけがなかったから。
「はぁー…」
大きく吐き出される溜め息で鬱々した気持ちが晴れるわけもなく、30分程で車は大学病院に着いてしまった。