WITH
「紗和に、ちょっと話あるんだけど……」
病院関係者や患者さんたちが行き交うのを避けるため、壁際へ移動しながらそう話す啓祐に、
「何……???」
何も考えず利用者の方に声をかけながら、啓祐に答える。
「報告……っていうか、ちょっと大事な話。今は話せないから、今晩時間とれない?」
「たぶん、大丈夫。……何か、あったの?」
「うん、ちょっと……ね。
来たらわかるから、夜にね?」
そう要件を伝え終えると颯爽と歩いていく啓祐に、なんだろう?と首を傾げつつ、私も車イスを押して歩き出した。