WITH


仕事を終え外に出ると、
すっかり暗くなった空が視界に入り、10月の冷たくなり始めた空気が頬に当たる。


疲れたから、今日は真っ直ぐ家に帰ろう……


そう考えて、身震いしつつもバス停へと続く坂道を下り始めた。



一人でいるのが嫌いな私は、
就職してからというもの毎日のように出歩く。


職場の人と食事に出掛けたり、
友達に会ったり。

週1で夜勤も入るし……、
男にも会っていた。


……だけど。

3週間前のあの日、啓祐に最後に言われた

『もう誰も、……紗和自身も傷付けないで』

という言葉で、男関係は自粛している。


だから余計に、
廉を思い出してしまうのかもしれない……



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